2015年6月17日水曜日

山田太一 「日本の面影 ラフカディオ・ハーンの世界」

NHKドラマになった物語の脚本だ。とても面白い。1984年に刊行された本が、岩波現代文庫に入っている。アイルランド人の英軍の軍医とギリシャ人の母の間に生まれたラフカディオ・ハーンは1850年にギリシャで生まれた。2歳の時に一家はダブリンに移る。4歳の時に母はギリシャに戻ってしまい、その数年後に離婚する。16歳の時に事故で左目を失明し、同じ年に父がインドからの帰国途中に病没する。19歳の時に渡米し、各地を転々とした後、24歳から新聞記者として仕事をするようになる。27歳の時にニュー・オーリンズに移り住む。

34歳の時にニューオーリンズ百年記念の博覧会で日本人に出会うところから、この物語は始まる。この時に博覧会に来ていた日本政府の代表団のメンバーと知り合い古事記の物語を聞く。「イザナギとイザナミ」の話を聞いて、ギリシャ神話「オルフェウスとエウリュディケ」との共通性を感じ、日本に興味を持つ。


40歳の春に日本を訪れる。この年の9月から、松江で旧制中学と師範学校の英語教師となる。出雲大社を訪れて日本の古代信仰に触れ、日本人の魂が古代ギリシャ人の精神に似ているという印象を持つ。熊本の五高に3年勤務した後、神戸に移る。46歳で日本に帰化し小泉八雲となる。この年に東京帝大の講師となり英文学を教える。54歳で「怪談」を出版。この年の9月、狭心症により永眠。


ニューオーリンズで古事記のイザナギ・イザナミの物語を教えてくれた日本人を始めとして、松江での小泉せつ夫人との出会いなどによりラフカディオ・ハーンが大きな感化を受けていく様子が生き生きとした会話劇として描かれている。爽やかな読後感の残る本だ

0 件のコメント:

コメントを投稿