このところ幾冊も読み始めると別の本を教えてもらうことが続いて読了してないが面白い。森敦は檀一雄と仲良しだったらしい。檀一雄は太宰治の友人として知られている。この本の冒頭で森敦は、太宰の作品である「走れメロス」が書かれた経緯について解説している。太宰と檀の二人が湯河原に遊んで金を使い果たした時に、檀を旅館の人質にして太宰が金策のために東京に戻ったそうだ。ところが金策に失敗した太宰はそのまま戻らなかったらしい。森敦はこのことを「驚いたことに太宰治はこれを「走れメロス」という小説に書いた」と書いている。
森敦の考察がユニークなのは「太宰自身がメロスと思われがちだが、実は檀一雄である。」としている点だ。教科書にも載ったのでよく知られている太宰の 「走れメロス」はドイツの詩人・劇作家だったシラーという人の書いた詩を原作としている。友人を人質にする話だから、湯河原に旅館の人質として残ったのが檀一雄であるならば、メロスは太宰であって良さそうなものだ。森敦の説明はどういう意味なのだろう?
森敦の考察がユニークなのは「太宰自身がメロスと思われがちだが、実は檀一雄である。」としている点だ。教科書にも載ったのでよく知られている太宰の 「走れメロス」はドイツの詩人・劇作家だったシラーという人の書いた詩を原作としている。友人を人質にする話だから、湯河原に旅館の人質として残ったのが檀一雄であるならば、メロスは太宰であって良さそうなものだ。森敦の説明はどういう意味なのだろう?
檀一雄はいくら待っても太宰が湯河原の旅館に戻って来ないので、自分も旅館に頼んで東京に戻り、太宰を探し歩いたらしい。太宰としては、親友を人質に置いて走り回る自分をメロスとしてイメージしたのだろうが、事情を聴いた森敦は太宰を探して東京の心あたりを探し回った檀一雄こそがメロスにふさわしいと考えたのだろう。面白い。
0 件のコメント:
コメントを投稿