2016年7月17日日曜日

原田マハ 「楽園のカンヴァス」

原田マハという人の小説がフェースブック友だちの間で話題になっていたので「キネマの神様」、「楽園のカンヴァス」、「本日は、お日柄もよく」と3冊読んでみた。どれも面白い。「キネマの神様」については別にノートを書いた。

「楽園のカンヴァス」も圧倒的に面白い。この小説の主人公は大原美術館に勤めている監視員の女性という設定になっている。この美術館の館長として一年前に就任した「国内屈指の西洋美術史家・宝尾義英」という人物が登場する。実際に大原美術館の館長で、美術評論の大御所である高階秀爾氏が新潮文庫版の解説を書いている。小説のあらすじはアンリ・ルソーの作品の真贋をめぐる駆け引きと、ルソーとピカソの関係をめぐってのミステリー仕立てになっている。大規模なルソー展を日本で開催できるかどうかがきっかけとなり、過去と現在が交錯する。

1975年のフェルディナンド・ホドラー展のことを思い出しながらこの小説を読んでいた。2014年の暮れにも40年ぶりのホドラー展が開かれていた。世紀末の象徴主義の画家として、ウィーンのクリムトと並び称されるスイスの人だ。なかなか外の展覧会への貸し出しがないのは大きな絵が多くて搬送が大変なこともあるが、ドキッとする題材もあって扱いに困ることもあるからだろうと思っている。チューリヒに行く機会があった時にこの人の絵に再会した。自分の好きな画家、好きな絵についてのこだわりのある人にとっては、この原田マハの小説はとても面白い。
 
 

 

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