2015年2月21日土曜日

インテリジェンス小説を読んでいたらヌクスの美術館のことが出てきた

情報のプロとして知られている元外交官の書いた尖閣問題に関する小説を読んだ。この本は2014年に刊行されている。本のメインのテーマは「尖閣問題の棚上げについての合意」の有無だが、この点については2011年に服部龍二「日中国交正常化」(中公新書)の中でも第8章として論じられているので、機密情報の暴露という感じでもない。

この本の面白さは「謀略」としての外交関係を、自らの外交官としての経験を基にしつつ「小説」の形で書いていることだ。理想と使命感に燃える主人公はその信念を貫くことで本省の主流から外れ、ウズベク赴任を考えたり、イランなど在外公館を経験することになる。小説の中に第三者の形で著者自身が登場するが、主人公が経験するこれらの国は著者自身の赴任国でもある。つまり現在の著者が自らの若い日々を振り返る形で書いた小説だ。


この本でもう一つ面白いのはウズベキスタンのヌクスにあるイゴール・サヴィツキー美術館について詳細な紹介がなされていることだ。この美術館はロシア・アヴァンギャルドのコレクションで有名だ。紹介のドキュメンタリー映画もある。小説の中では良寛、中島みゆきなども引用されていて面白い。「信念を貫いて生きよ。左遷を怖れることはない」という青春小説としての読み方もできるだろう。

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