2014年10月4日土曜日

グレアム・グリーン「情事の終わり」

この本を気にし始めたのは2008年頃だ。何度も映画化されていることに気がついて、きっと良い本なのだろうと思った。その後で読みかけては何度も途中で挫折して2013年に読み終えた。最初の部分が暗くて長いので、諦めてしまいやすい本だ。

主人公は作家である。数年前に夫のあるヒロインと密会を重ねていた。ある日、突然関係を打ち切られてのが心の傷になっている。その作家のところに、別れた女の夫がやってくる。「妻が浮気しているらしいが、どうしたらいいだろうか」と相談を持ちかけられる。主人公はようやく自分が捨てられた理由が明らかになったと思い、何だか夫のことも気の毒になって私立探偵役を引き受ける。


そうしてやがて予想もしなかった物語が展開する。ヒロインが彼を捨てたのはロンドンが第二次大戦で空襲を受けていた頃。爆弾が空から降ってくる時代に逢瀬を重ねていた二人。深窓の婦人の座を捨てて新しい出発を心に決めかけていたヒロインに何が起きたのか?捨てられた男と寝取られた男の奇妙な関係も興味深い。

0 件のコメント:

コメントを投稿